こんにちは。「大腸がん日記」の運営者です。
抗がん剤前の血液検査&尿検査ってありますよね。
体調によって何となく結果は予想できますが、それでも数値は気になるもので・・・
筆者心配性のわたしは、血液検査の前日は眠れないくらい緊張します><;
注射嫌い・・・という理由もありますが。
採血を終えてから診察室に呼ばれるまでの間は、そもそも待ち時間が長くてがん患者にはキツイし、抗がん剤が出来る/出来ないでは今後の一週間のみならず治療方針も変わってくるので、運命の分かれ道のような気分です。
この記事では、わたしが実際に抗がん剤治療中の血液検査結果を公開します。
さらに、それぞれの項目が何を意味するのか、そして、その数値を基に医師がどのように判断しているのかを、私自身の経験と学び、医師からの説明をもとにご紹介したいと思います。
- 抗がん剤治療を継続できる好中球「基準値(1000)」の意味
- 筆者(大腸がんステージ4)のリアルな血液検査データ(時系列)
抗がん剤治療の継続は「好中球」の数値が鍵
抗がん剤治療の可否を判断する上で、医師が特に注視している項目が「好中球(Neutro)」の数です。
私の主治医も、毎回この数値を真っ先にチェックしています。

大丈夫ですね。好中球が1000超えてますので、予定通り抗がん剤治療しましょう
この「好中球1000/μL」というラインが、治療を継続できるかどうかの、一つの大きな目安となっています。
私が「好中球1000以下」で治療を中断した話
「1000」という基準値の大切さを、私自身が痛感した経験があります。
治療開始から約5ヶ月が経った頃、好中球の数値が「975」と1000を下回ってしまいました。
その時の医師の判断は、やはり「治療中断」でした。

1000を切ってしまうと、感染症のリスクが非常に高くなります。今回は抗がん剤はお休みして、回復を待ちましょう
抗がん剤治療ができない焦りも感じましたが、幸い、2週間ほどお休みしたことで数値は回復し、治療を再開できました。
なぜ「好中球」がそれほど重要なのか?
では、なぜ医師はこれほど「好中球」を重要視するのでしょうか。
好中球は「細菌と戦うエリート部隊」
国立がん研究センターの情報によると、好中球は以下のように説明されています。
好中球とは
顆粒球と呼ばれるグループに分類される白血球の一種。白血球全体の約45~75%を占め、強い貧食作用を持ち、細菌や真菌感染から体を守る主要な防御機構となっている。
「がん」はどうやって治すのか(国立がん研究センター編)
つまり好中球は、体内に侵入してきた細菌などを真っ先に見つけて殺菌する、免疫システムの「最前線で戦う兵士」なのです。
抗がん剤の副作用で好中球は減少する
問題は、抗がん剤が「がん細胞」だけでなく、分裂が活発な「正常な細胞」にもダメージを与えてしまうことです。
血液を作る骨髄細胞もその一つであり、抗がん剤の副作用(骨髄抑制)によって、好中球の数が極端に減ってしまいます。
好中球が減ると、普段なら問題にならないような弱い細菌にも感染しやすくなり、時には命に関わる重い感染症(敗血症など)を引き起こす危険性が高まるのです。
だからこそ、医師は「好中球が1000以上あるか(=感染症と戦う最低限の力があるか)」を厳しくチェックしているのです。
また、抗がん剤の専門知識を持つ看護師によると、

白血球を増やすことはできません。抗がん剤を減らすかお休みして身体を回復させるのが一番です
とのことです。
手洗い、うがい、マスクをして感染予防に努めましょう。
抗がん剤治療中の血液検査、結果を公開
ここからは、私が実際に受けた血液検査の結果(抜粋)を公開します。 (※基準値は検査機関によって異なります。あくまで一例としてご覧ください)
白血球・好中球・腫瘍マーカーの推移グラフ
抗がん剤治療中に主にチェックする白血球数と好中球数(左軸)、腫瘍マーカー(右軸)のグラフは以下の通りです。

抗がん剤を始めて2か月後の6月あたりから、白血球数と好中球はずっと低い数値のままでしたが、9月に抗がん剤をお休み(できなかった)してから急速に回復しました。
ウォーキングで坂を上っても以前ほどはゼーハーしなくなりましたし、脚も楽に感じられました。
ただその後、抗がん剤治療を再開してからはまた下落し始めています。
腫瘍マーカーは順調に下がっています。2025年3月には2223でしたが、最新の10月の検査では7まで下がりました。
血液検査データ(抜粋)
背景色グレー(低すぎ)、ピンク(高すぎ)を表しています(表は右にスクロールします)。
| 検査項目 | 11/4 | 10/28 | 10/14 | 10/10 | 9/30 | 9/16 | 9/9 | 8/26 | 8/12 | 7/29 | 7/15 | 7/1 | 6/21 | 6/17 | 6/10 | 5/27 | 5/13 | 4/24 | 4/16 | 4/1 | 3/27 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 総蛋白:6.5~ 8.2 血液中に含まれるタンパク質の総量です。栄養状態や肝臓・腎臓の機能などと関連があります。 | 7.1 | 6.6 | 6.5 | 6.7 | 6.7 | 6.4 | 6.3 | 6.1 | 6.2 | 6.1 | 6.3 | 6.4 | 6.4 | 6.6 | 6.1 | 6.8 | 6.6 | 6.4 | 6.1 | 6.0 | 6.7 |
| アルブミン:3.8~ 5.3 肝臓で作られる血液たんぱく質。値が低い場合は、栄養不足、肝臓や腎臓の疾患、炎症性疾患などが疑われます。 | 4.3 | 4.0 | 4.0 | 4.2 | 4.1 | 3.9 | 3.8 | 3.7 | 3.7 | 3.8 | 4.0 | 4.1 | 4.1 | 4.1 | 3.8 | 4.3 | 4.1 | 3.9 | 3.6 | 3.8 | 4.2 |
| 白血球数:3800~9300 免疫機能に関わる白血球の数。白血球数が増加している場合、感染症や炎症、ストレス、喫煙などが原因として考えられます。逆に減少している場合は、ウイルス感染症、再生不良性貧血、膠原病などが疑われます。 | 4100 | 4970 | 4080 | 6800 | 4720 | 3250 | 4460 | 3560 | 4470 | 4000 | 4410 | 4030 | 4940 | 4020 | 3910 | 3330 | 5070 | 4440 | 8150 | 6750 | 9110 |
| Neut(5)(%) 白血球の中の好中球の割合。 | 43 | 53 | 54 | 68 | 51 | 30 | 43 | 43 | 50 | 51 | 48 | 52 | 62 | 37 | 51 | 49 | 55 | 63 | 81 | 69 | 69 |
| 好中球数 白血球数 x Neut5(%) = 好中球数。1000以上なら抗がん剤を継続投与できる。 | 1763 | 2634 | 2203 | 4624 | 2407 | 975 | 1917 | 1530 | 2235 | 2040 | 2116 | 2095 | 3062 | 1487 | 1994 | 1631 | 2788 | 2797 | 6601 | 4657 | 6285 |
| 総ビリルビン:0.2~ 1.0 赤血球が分解される際にできる色素で、肝臓で処理され胆汁として排泄されます。肝臓の機能低下や胆道の閉塞があると高値になり黄疸の原因となります。 | 0.8 | 0.8 | 1.0 | 0.9 | 0.8 | 0.6 | 0.8 | 0.7 | 0.8 | 0.6 | 0.4 | 0.7 | 1.4 | 0.6 | 0.5 | 0.7 | 0.5 | 0.8 | 0.5 | 1.3 | 0.8 |
| 直接ビリルビン:0.0~ 0.4 肝臓で処理されたビリルビン。 | 0.2 | 0.3 | 0.3 | 0.3 | 0.2 | 0.2 | 0.3 | 0.2 | 0.3 | 0.2 | 0.2 | 0.2 | 0.2 | 0.2 | 0.3 | 0.2 | 0.3 | ||||
| AST (GOT):7~ 38 肝臓の細胞に含まれる酵素で、肝細胞が壊れると血液中に流れ出し 数値が上昇します。肝炎や脂肪肝などで高値になります。 | 43 | 51 | 57 | 37 | 38 | 49 | 43 | 42 | 42 | 38 | 35 | 30 | 24 | 27 | 28 | 28 | 29 | 53 | 55 | 42 | 51 |
| ALT (GPT):4~ 44 AST、ALTを見ることで、抗がん剤の副作用を抑制できているのか?をチェック。もし数値が上がる場合は体内への蓄積を考慮して薬の量を調整する。 | 24 | 29 | 28 | 20 | 20 | 25 | 25 | 23 | 25 | 19 | 21 | 17 | 18 | 18 | 17 | 16 | 19 | 42 | 49 | 39 | 156 |
| LDH:120~ 245 体内で糖がエネルギーに変わる代謝経路に関わる酵素。高値の場合、肝臓、心臓、血液、腎臓、肺、骨格筋の損傷など、広い疾患の可能性が考えられます。 | 316 | 320 | 319 | 303 | 312 | 305 | 282 | 295 | 277 | 267 | 254 | 248 | 187 | 230 | 226 | 227 | 267 | 700 | 717 | 606 | 649 |
| ALP:38~ 113 臓、骨、腎臓、小腸などに存在する酵素。肝臓や胆道の病気、骨の病気などで上昇することがあります。 | 197 | 185 | 159 | 170 | 181 | 170 | 163 | 146 | 118 | 125 | 138 | 113 | 104 | 120 | 111 | 127 | 128 | 139 | 147 | 126 | 156 |
| γ-GTP:6~ 64 肝臓や胆道に多く存在する酵素。アルコールの影響や胆汁の流れが 悪くなると高値を示すことが多い項目です。 | 25 | 27 | 23 | 24 | 23 | 20 | 22 | 21 | 24 | 23 | 27 | 26 | 28 | 30 | 28 | 44 | 66 | 171 | 146 | 156 | 161 |
| BUN:8~20 血液中の尿素に含まれる窒素の量。機能低下で値が高くなります。 | 8.8 | 8.2 | 10.5 | 11.8 | 12.4 | 8.7 | 10.4 | 10.6 | 10.0 | 11.4 | 12.1 | 12.8 | 14.7 | 16.0 | 11.1 | 13.9 | 15.0 | 11.9 | 10.6 | 11.9 | 10.0 |
| クレアチニン:0.4~1.1 筋肉の老廃物。機能低下で値が高くなります。 | 0.83 | 0.84 | 0.79 | 0.88 | 0.84 | 0.8 | 0.94 | 0.86 | 0.96 | 0.89 | 0.82 | 0.91 | 0.79 | 0.81 | 0.86 | 0.86 | 0.94 | 0.84 | 0.86 | 0.86 | 0.90 |
| CPK:22~ 222 筋肉細胞がエネルギーを作り出す際に重要な働きをする酵素です。 筋肉やこれらの臓器の細胞が障害を受けると、CPKが血液中に流れ出して数値が上昇します。 | 418 | 500 | 959 | 459 | 633 | 356 | 378 | 306 | 358 | 276 | 283 | 85 | 257 | 214 | 231 | 221 | 120 | 183 | 152 | 199 | |
| 総コレステロール:130~ 220 血液中のコレステロールの総量です。 | 173 | 175 | 167 | 174 | 191 | 232 | 204 | 159 | 169 | 183 | 268 | 283 | |||||||||
| アミラーゼ:~ 130 糖質(でんぷん)を分解する消化酵素の一つです。膵臓と唾液腺から分泌される。 | 151 | 118 | 120 | 117 | 116 | 136 | 136 | 131 | 131 | 134 | 111 | 113 | 102 | 118 | 98 | 107 | 102 | 73 | 86 | 61 | 58 |
| 血糖:65~ 109 | 106 | 100 | 96 | 90 | 78 | 87 | 88 | 93 | 93 | 96 | 122 | 82 | 94 | 89 | 83 | 98 | 86 | 127 | 101 | 106 | |
| CRP:0.0~ 0.3 体内に炎症や組織の破壊がある場合に増加するタンパク質。感染症やリウマチなどの病気で高値になります。 | 0.2 | 0.1 | 0.1 | 0.2 | 0.0 | 0.1 | 0.1 | 0.1 | 0.2 | 0.1 | 0.1 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.3 | 0.8 | 0.6 | 0.4 |
| Na:135~ 148 ナトリウム | 142 | 145 | 142 | 143 | 141 | 140 | 142 | 141 | 146 | 141 | 143 | 143 | 142 | 142 | 143 | 142 | 143 | 139 | 139 | 139 | 137 |
| K:3.5~ 5.0 カリウム | 3.7 | 3.5 | 3.4 | 3.7 | 3.7 | 3.7 | 3.9 | 3.7 | 4.1 | 3.7 | 4.0 | 3.9 | 4.0 | 4.0 | 4.2 | 4.0 | 4.0 | 3.8 | 4.0 | 4.4 | |
| Mg:1.7~2.6 マグネシウム。抗がん剤の副作用で減る傾向があり肌が荒れやすくなる。 | 2.2 | 1.7 | 2.0 | 2.0 | 1.8 | 2.0 | 1.8 | 2.2 | 2.1 | 2.1 | 2.6 | 2.2 | 2.3 | 2.5 | 2.3 | ||||||
| 腫瘍マーカ:0.0~5.0 消化器の粘膜などを作るために活発に作られるタンパク質 | 7.3 | 16 | 18 | 68 | 178 | 762 | 2223 |
※基準値は検査機関によって異なります。あくまで一例としてご覧ください。
まとめ:検査結果を理解し、主体的に治療と向き合う
血液検査は、抗がん剤治療という長いトンネルの中においては、現在地を的確に教えてくれる存在に感じます。
最初はただの数字の羅列にしか見えませんでしたが、医師や看護師に見方を教えていただいたことで、自分の身体の理解が確実に深まりました。
例えば、白血球や好中球が下がれば、
筆者免疫力が低下してるかも。マスクや手洗い、うがいをしっかりして感染対策しよう!
という具合です。
このように、検査結果と行動をつなげることでより主体的に、そして前向きに治療と向き合えます。
これから血液検査を控えている方も、どうか数字の一つ一つに一喜一憂せず、信頼できる医療チームと共に、一歩一歩、着実に治療を進めていきましょう。
この記事の著者である私は、医師や薬剤師などの医療資格を持つ専門家ではありません。
本記事の内容は、大腸がん闘病中の一人の人間として、
- がん患者としての実体験、
- がん薬物療法看護認定看護師や腫瘍内科医師への質問を通じて得た知識、
- 国立がん研究センターに掲載されたがん情報
を個人的にまとめたものです。
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