「他にも何かできることはないか?」
「標準治療だけで本当に大丈夫なのか?」
大腸がんステージ4と診断され、抗がん剤治療の副作用に苦しんでいると、ふとそんな不安に襲われる夜があります。藁にもすがる思いでネット検索し、「がんが消えた!」という奇跡のような体験談に心を奪われそうになる気持ち、痛いほど分かります。
しかし、当事者である私からあなたに、まず結論をお伝えしなければなりません。
「現在、がんそのものを治す効果が証明された民間療法はありません」
これは私の個人的な意見ではなく、国立がん研究センターなどの公的機関が示している事実です。
この記事では、高額な費用を支払って後悔したり、大切な治療の機会を逃したりしないよう、民間療法のリアルな実情と、私たちがとるべき「賢い選択」について、中立的な立場から解説します。
民間療法とは? 標準治療との決定的な違い
まずは、この2つの違いを明確にしておきましょう。ここを曖昧にすると、甘い言葉に騙されてしまいます。
- 標準治療(王道)
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- 内容: 手術、抗がん剤、放射線治療など。
- 根拠: 数多くの臨床試験で「効果と安全性」が統計学的に証明されている、現時点で「最も治る確率が高い治療法」です。
- 費用: 保険適用(高額療養費制度も使える)。
- 民間療法(抜け道)
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- 内容: サプリメント、食事療法、気功、自由診療の免疫療法など。
- 根拠: 科学的なデータで「がんが治る」とは証明されていません。
- 費用: 全額自己負担(超高額になるケース多数)。
「補完」としては意味がある
ただし民間療法を全否定するわけではありません。民間療法は、治療の目的によって2つに分けられます。
- 代替医療: 標準治療を行わずに「代わり」に行うもの。(※これは非常に危険です)
- 補完医療: 標準治療の副作用を和らげたり、心の辛さを軽減するために「プラス」するもの。(鍼灸、マッサージ、ヨガなど)
「がんを治す」ためではなく、「QOL(生活の質)を上げて、標準治療を完遂するためのサポート」として利用するのはアリだと私は考えています。
世の中に溢れる民間療法の種類とリアル
私が調べた中でも、代表的なものは以下のようなものがあります。
| カテゴリー | 具体例 | 筆者の視点 |
| 食事療法 | ゲルソン療法、マクロビオティック、 断食、大量の野菜ジュース | 体質改善には良いかもしれないが、 やりすぎは体力低下のリスクも。 |
| 健康食品 | アガリクス、プロポリス、 フコイダン、サメ軟骨 | 「効いた気がする」レベルの域を出ない。 肝機能障害などの副作用リスクも。 |
| 身体ケア | 鍼灸、マッサージ、ヨガ、温熱療法 | 副作用(しびれや吐き気)の緩和や リラックス効果は期待できる。 |
| 自由診療 | 高濃度ビタミンC点滴、 がんワクチン、免疫細胞療法 | 費用対効果が不明確。 最も慎重になるべき領域。 |
【悲報】数百万〜1000万円?! 衝撃の費用事情
民間療法を検討する際、最もネックになるのが「お金」です。保険が効かないため、驚くような金額になります。
- サプリメント: 月額 数千円〜数万円
- 高濃度ビタミンC点滴: 1回 1万〜3万円(週数回を推奨されるため、月額10万円超えも)
- 自由診療の免疫療法: 1回 300万円〜。1クールで1000万円を超えることも珍しくありません。
もし、その1000万円で効果がなかったとしても、誰も責任を取ってはくれません。「がんビジネス」という言葉があるように、患者の不安につけ込むビジネスが存在するのは悲しい現実です。
「YouTubeの奇跡」に惑わされないで
YouTubeを開けば、「抗がん剤をやめて〇〇で治った!」といった動画が溢れています。
ユーチューバー抗がん剤をやめて〇〇で治った!
正直、副作用で辛い時に見ると



私もそっちに行きたい…
と心が揺らぎます。
しかし、それらはあくまで「個人の体験談(サンプル数 N=1)」に過ぎません。数百種類あるがんの中で、たまたまその人に起きたことが、あなたにも起きる保証はどこにもないのです。
あの有名な「四毒抜き」を提唱されている吉野敏明医師でさえ、ご自身の動画で「標準治療の必要性」を訴えています。


私が「標準治療+生活改善」を選んだ理由
ステージ4の私は、現在も抗がん剤治療を続けています。
私が民間療法(代替医療)に大金を払わない理由はシンプルです。



怪しい情報にお金を使うより、確実に延命効果が証明されている治療にお金を使い、残りは家族との楽しい時間に使いたい。
これが私の結論です。
ただ、何もしないわけではありません。「標準治療」をメインエンジンにしながら、自分でできる「生活改善(食事や運動)」で身体を整える。これが最強の組み合わせだと信じています。
騙されないための「最強の防具」を手に入れる
もしあなたが、あるいはご家族が、高額な民間療法を勧められて迷っているなら、決断する前に必ずこの本を読んでください。
日本のガン治療の最前線である「国立がん研究センター」が出している書籍です。
ネット上の噂レベルの話ではなく「何が本当で、何が嘘なのか」がデータに基づいて解説されています。この本を一冊読むだけで、数百万円の詐欺被害を未然に防げると考えれば、これほど安い投資はありません。
実際、この本の中では以下のように注意喚起されています。
効果や安全性が証明されず保険でも承認されていない免疫細胞療法やがんワクチン療法が、一部のクリニックなどで高額な値段で患者さんに投与されている事例を多く見かけます。
(中略)重篤な副作用に十分に対応できず、患者が死亡した事例も報告されています。
がんはどうやって治すのか(国立がん研究センター編)
命とお金を守るために、まずは「正しい知識」で武装してください。
まとめ:後悔しない選択のために
民間療法を取り入れる際は、以下の3つのルールを絶対に守ってください。
- 主治医に必ず相談する: 「怒られるかも」と隠れて行うのが一番危険です。飲み合わせで抗がん剤の効果が消えてしまうこともあります。
- 標準治療を辞めない: 民間療法はあくまで「サポート役」です。主役にしてはいけません。
- 情報源を確認する: 個人のブログやSNSではなく、公的機関(がん情報サービスなど)の情報を信じましょう。
がん治療は、情報戦です。
不安な気持ちは私も同じです。だからこそ、甘い言葉ではなく「確かな事実」を積み重ねて、一緒に前へ進んでいきましょう。






