抗がん剤治療中の外出で、一番困るのは何か。吐き気でも体力でもなく、トイレです。
大腸がんステージ4で抗がん剤治療(FOLFOX療法)を28回受けてきましたが、外出のたびに頭にあるのは「お腹の調子はどうなのか?」です。
健康な人なら朝一回トイレ(大)に行けば、その日はほぼ大丈夫でしょう。私の場合は1日に少なくとも5、6回はトイレに行きます。下痢をしているわけではなく、スムーズに出ないので小分けになるのです。お腹は常に張っている感じで、食べると苦しくなります。
それでも、抗がん剤治療中に京都旅行に行きました。横須賀の軍港クルーズにも行きました。自転車も再開して、絵画の個展にも出かけています。
この記事は、治療しながら外出するための工夫と実感を書き残したものです。
- 抗がん剤治療中の外出で一番困る「トイレ問題」のリアル
- 公共交通機関・外食・旅行での具体的な対処法
- 抗がん剤ポーチを付けたまま外出した体験
- 治療中でも外出・旅行・運動を続けている理由
外出中のトイレ問題|2時間おき、1日5回以上
大腸の一部ががんに塞がれているため、便がスムーズに通りません。一度に出し切れず、少量ずつ何回にも分けて、辛うじて出している感じです。結果、1日5回以上は必ずトイレ(大)に行きます。
特に外出中は、お腹の張りや違和感が2時間間隔くらいで来ます。外食した後はさらに顕著で、食べた直後に行きたくなることも。
西新宿の個展に出かけた時も、個展の前後でトイレに行きました。

でも下痢とは違います。抗がん剤の副作用による便秘も重なって、「出したいのにスムーズに出ない」のが日常なのです。
私のトイレ対策は「早めに行く」の一点
特別な対策があるわけではありません。「少しでも違和感や気分の悪化を感じたら、すぐにトイレに行く」。これだけです。
我慢しない理由は2つあります。
ひとつは、公共交通機関で周囲に迷惑をかけたくないこと。電車やバスに乗っている時に限界が来たら、もう取り返しがつきません。だから少しでも「あやしいな」と感じたら、途中下車してでもすぐにトイレに向かいます。
もうひとつは、腸閉塞の予防のためです。無理に我慢して詰まってしまうと、腸閉塞で緊急手術になりかねない。早めに出しておくことが、結果的に身を守ることになります。
同行する家族にもこの方針は伝えてあるので、「トイレ行ってくる」と言えば即座に理解してくれます。旅行中も観光中も、トイレ最優先。これがわが家のルールになっています。
抗がん剤ポーチを付けたまま外出する
通院治療に切り替わってからは、抗がん剤の入ったポーチを肩から下げて自宅で過ごす「通院治療」になりました。胸のCVポートから管が伸びて、ポーチの中のボトルにつながっている状態で2〜3日過ごします。
この状態でも外出はできます。11回目の治療時には、ポーチを付けたまま横須賀クルーズ(軍港巡り)に出かけました。

10回目の治療でベクティビックスとエルプラットの量を減らしてもらったおかげで、ポーチを付けている間のしんどさが減りました。減量前は、お腹がパンパンで呼吸すら苦しかったのです。
ポーチは病院の専用品を使っている
抗がん剤のボトルを入れるポーチは、病院でもらった専用品をそのまま使っています。看護師さんには「ユニクロの三角形の斜めがけポーチなども使えますよ」と教えてもらいましたが、専用品の方が小さくて収まりがいい。
チューブが見えるので病人感は出てしまいますが、カバンとは別にしてあるのが何かと楽なのです。カバンを遠くに置いてもチューブを引っ張られない。物を出し入れする時も抗がん剤のボトルを気にする必要がない。結果的に、いつも通りに行動できるので気楽です。
見た目を気にするより、動きやすさを優先した結果、専用品に落ち着きました。
治療の合間に旅行した話
13回目の治療後、京都旅行に行きました。抗がん剤の投与から次の治療までの2週間のうち、体調が安定する後半(投与後7〜10日目あたり)を狙って日程を組みました。

真っ赤に紅葉した清水寺、美味しい食事、目新しい風景。がん患者でも素晴らしい景色を楽しめるんだなと、自信になりました。
ただ、旅行中もトイレ問題はついてきます。観光地はトイレの場所を事前に確認。食事→トイレ。これをルーチン化して何とか乗り切りました。ちなみに新幹線でも、通路側の席を取るようにしました。
増上寺に行った時は、数日後に風邪を引いてしまいました。熱が出たものの、それ以上悪化しなかったのは幸いでした。免疫が下がっている事を忘れずに、人混みには注意が必要です。

自転車と筋トレ|運動で体調が変わった
2025年11月、診断から8か月で自転車を再開しました。最初は20kmほど。遊行寺まで走って、早速筋肉痛です。

その後、湘南海岸まで距離を伸ばし、毎日の買い物も自転車で行くようになりました。

2026年7月からは、スクワットなど簡単な筋トレも始めました。これが意外と効いて、スッと立ち上がれるようになったのが地味にうれしい。
医師や看護師さんによると、私は食べられるし動けるので副作用がかなり軽い方だそうです。
筆者たぶん自転車に乗ってるおかげ
医師にも「運動は大事」と言われています。自転車を漕ぐと腸も動くので、便秘対策にもなっています。
食事で気をつけていること
特別な食事制限はしていません。ただ、お腹への負担を減らすために意識していることはあります。
- 納豆を毎日食べる ── 腸内環境のため。朝食の定番に。
- もずく酢かめかぶのパック ── 海藻類も毎日。水溶性食物繊維が便通に効いている実感あり。
- オートミール ── 間食に。食物繊維を補給します。
- 食べ過ぎない ── 胃腸に負担をかけると便秘が悪化します。腹八分を意識。
- 甘いものは控えめに ── 入院中、同室の方のインシュリン注射を見て控えるように。
入院初期から「好きなものを食べた方がいいのでは」と思った時期もありましたが、万が一のために気をつけています。
外出を続ける理由
トイレの心配、体力の不安、免疫低下による感染リスク。外出しない理由はいくらでも作れます。
でも、まだ生きているのに、やりたいことをあきらめる必要ある?
「がんだからできない、仕方ない」── それ本当?
楽しむことを諦めたら、それこそ終わりだと思うのです。
医師には「辛くて動けないでしょう?」と言われます。でも私は、点滴のポーチを肩から下げたまま自転車に乗っています。自転車で身体を動かすと毛細血管が広がり、抗がん剤が全身の細胞に届きやすくなる ── そう信じて漕いでいます。
明日ペダルを漕げる保証はどこにもありません。だから今日、後悔しないように自転車に乗るのです。自転車乗りたいから。


