がんの告知や治療は、心にも大きな影響を与えます。『これからどうなるんだろう』という不安や、『なぜ自分が』という怒りなど、様々な感情が渦巻く中で、無意識のうちに自分の可能性を狭めてしまう『メンタルブロック』が生まれることがあります。
この記事では、がん患者さんが抱えやすいメンタルブロックの具体例を考えてみます。
また、
「なぜか実力を発揮できない…」
「もっと人生を楽しみたいのに、何かがブレーキをかけている気がする…」
「豊かさや自己肯定感に対して、漠然としたブロックを感じる…」
といった行き詰まり感をじているなら、この場合も「思い込み(メンタルブロック)」が原因かもしれません。
しかし、ご安心ください。
思い込みは、一度その存在に気づいてしまえば、手放していくことができます。この記事では、多くの人が抱えがちな「不要な思い込み」を115個のチェックリストにまとめました。「自分にもこんな考え方の癖があるかも?」という視点で、ぜひ一度、ご自身の心と対話してみてください。
思い込み(メンタルブロック)とは、私たちがこれまでの人生経験や育った環境の中で、無意識に作り上げてきた「心のフィルター」のようなもの。かつては自分を守るために必要だったそのフィルターが、いつしかあなたの可能性を狭め、行動を制限する“足かせ”になっていることがあります。
がん患者のメンタルブロック
病気の発症に伴っていろんな感情や思いが沸き上がってきます。まずは不安でしょう。
がんのこと、手術・治療のこと、費用のこと、入院のこと、分からないことだらけですからね。
この先、どういう人生になるのか?
がんを宣告された患者なら、誰にでも漠然とした不安がやってきます。私自身もそうでした。あなただけではありませんので安心してください。
がんを宣告された方が、抱えがちなメンタルブロック(思い込み)は次のようなものでしょう。
- 自分は不幸だ
- もうあの生活には戻れない
- 迷惑をかけてはいけない
- プラス思考でいなければいけない
がんと宣告された事実は、残念ながら変えることは出来ません。不幸か?と言われれば、私は決してそんなことはないと思っています。
がんと分かってから頭の中がすごく冴えていいて、気づきや閃きが毎日やってきます。また、友達からの温かい励ましに本当に勇気づけられていますし、心のつながりに幸せを感じています。
お世話になっている医師も看護師も本当に親身になって対応してくださるので、治療を受けるたびに幸せを感じますし感動すらしています。
本当の幸せって、やっぱり人とのつながりや一体感を実感できたときに感じるものなのではないかと思います。その意味で、がんになってから人とのつながりをより意識して生活するようになり、幸福感も増したように思うのです。
さて、次に、よくありがちなその他のメンタルブロックについてご紹介します。心が「ザワッ」としたり、「ドキッ」としたりする項目がないか、一つひとつ確認してみましょう。
メンタルブロックはたくさんありますので、以下のように6つのカテゴリーに分けてご紹介します。
カテゴリー1:自己肯定感・自己価値に関する思い込み
自分を不当に低く評価したり、自分を愛するための「条件」をつけていませんか?
- わたしはありのままの自分では価値がない。
- わたしは愛される資格がない。
- わたしは人に好かれるような人間ではない。
- わたしは欠陥品だ。
- わたしの本当の姿を知られたら嫌われる。
- わたしは幸せになってはいけない。
- わたしには特別な才能はない。
- わたしは周りの人たちより劣っている。
- わたしは自分の人生をコントロールできない。
- わたしの見た目には魅力がない。
- わたしは運が悪い人間だ。
- 感情は抑えるべきだ。
- わたしは傷つくのが怖い。
- わたしははいつも損な役回りだ。
- わたしは自分を信じることができない。
- 愛されるためには、相手に尽くし続けなければならない。
- 本当のわたしは誰にも理解されない、変わり者だ。
- 自分を優先するのはわがままだ。
- わたしは注目を浴びてはいけない。
一旦、無条件に自分を受け入れて、悩みも苦しみもすべてを肯定して受け入れてみませんか?そこから新しい自分が始まるように思うのです。
まるっと肯定することでしかポジティブに生きられないように思います。
カテゴリー2:豊かさ・お金・成功に関する思い込み
お金や成功に対して、無意識にネガティブなイメージを持っていませんか?
- お金は汚いもの、悪いものだ。
- お金儲けの話をするのは品がない。
- 豊かになることと、誠実であることは両立しない。
- 楽してお金を稼いではいけない。
- お金は苦労して稼ぐものだ。
- 自分の好きなことでお金を稼げるはずがない。
- お金を持つと、人が変わってしまう(悪い方へ)。
- お金がなくなったら、自分の価値もなくなる。
- 収入は、自分の労働時間に比例するべきだ。
- 節約や我慢こそが美徳だ。
- 人からお金を受け取ることに罪悪感がある。
- 値引き交渉をするのは恥ずかしいことだ。
- 高価なものは自分にふさわしくない。
- お金が全てのトラブルの原因だ。
- 投資や資産運用はギャンブルと同じで危険だ。
- 今の収入で満足すべきだ。
- 成功者は、何か汚い手を使っているに違いない。
わたしたちはお金に対して特別な感情や思いを抱きがちです。お金は本や洋服、食べ物と同じで生活の道具のひとつです。適切な距離感を保って、人生の目的や本来の自分を見失わないようにしたいものです。
カテゴリー3:人間関係・コミュニケーションに関する思い込み
「嫌われたくない」という気持ちから、自分を犠牲にしていませんか?
- 全ての人に好かれなければならない。
- 問題がある自分は嫌われる。
- 頼み事は相手に迷惑がかかる。
- NO(断る)と言うと、わがままだと思われる。
- 本音を言うと、人間関係が壊れる。
- 沈黙は気まずい、会話を弾ませなければいけない。
- 相手の機嫌が悪いのは、自分のせいだ。
- 他人は信用できない。
- 他人は自分を批判している。
- 自分が我慢しなければいけない。
- 議論で言い負かされてはいけない。
- 悩みを話したら馬鹿にされる。
- 傷ついた関係は、もう元には戻らない。
- 相手の考えていることを理解しなくてはいけない。
- 常に周りに合わせなければ、仲間はずれにされる。
- 困っている人がいたら、自分が助けなければならない。
- 人を信じると結局は裏切られて傷つく。
- 友達は多く社交的であるべきだ。
- 自分の家族やパートナーは、自分の思い通りになるべきだ。
- 誰からも本当の自分は理解されずに孤独だ。
他人からの評価=自分の価値であると勘違いすると、自分を見失います。まずは自分を大切にして自分の人生を生きましょう。気の合う人とは勝手に自然と仲良くなります。自分を偽る必要はありません。自分のままで大丈夫です。
カテゴリー4:仕事・キャリアに関する思い込み
「仕事とはこうあるべきだ」という固定観念に縛られていませんか?
- 仕事は辛くて厳しいのが当たり前だ。
- 給料は我慢料だ。
- 好きなことを仕事にするのは甘い考えだ。
- 一つの会社に長く勤めるべきだ。
- 転職を繰り返すのは根性がない証拠だ。
- 長時間働かないと、評価されない。
- 休みを取ることに罪悪感を感じる。
- 自分より優秀な人にかなうはずがない。
- 学歴や経歴がなければ良い仕事には就けない。
- この年で新しいことを始めるのはもう遅い。
- 肩書きや役職がなければ認められない。
- 安定した仕事が一番だ。
- 仕事のミスは、自分のキャリアの汚点になる。
- 他人より優れた成果を出さなければならない。
- 専門家や権威の言うことは、常に正しい。
お金に直結する仕事の思い込み、これも手放したいです。わたしはプライベートか仕事かに関係なく、よく言われる「結果がすべて」ではなくて「目の前のプロセスそのものを楽しむ気持ちがすべて」だと思っています。日々の一つ一つのこと丁寧に行うことが結局は大事であって、何事もその積み重ねだと思っています。
カテゴリー5:失敗・挑戦に関する思い込み
失敗を恐れるあまり、新しい一歩を踏み出すことをためらっていませんか?
- 失敗は絶対にしてはいけない。
- 常に前向きに努力しなくてはいけない。
- 他人の期待に応えなくてはいけない。
- 人に迷惑をかけてはならない。
- 中途半端は悪、失格である。
- 常に完璧に進めなくてはいけない。
- 失敗して周囲に笑われるのが怖い。
- 弱みを見せてはいけない。
- 人に助けを求めるのは、負けを認めることだ。
- 緊張や不安な気持ちは感じないよう克服しなくてはいけない。
- 自分だけが、こんなに苦労している。
- 世の中は、そもそも不公平にできている。
- プレゼンでは堂々としなくてはいけない。
- 受注が取れないと生き残れない。
- 新しいことに挑戦するのは、もう年齢的に無理だ。
失敗、自分がそう決めなければ失敗なんてあり得ません。すべては一つのステップです。夢や目的に向かって進み続けるだけです。
カテゴリー6:幸福・人生全般に関する思い込み
「こうでなければ幸せになれない」という、自分だけのルールを作っていませんか?
- 〇〇(結婚、家、子供など)を手に入れなければ、幸せになれない。
- 人生は苦しみの連続だ。
- 他人と比べて、自分は不幸だ。
- 「普通」の人生を送ることが一番だ。
- 幸せは、長くは続かない。
- 自分の人生は、自分でコントロールできない。
- 親や世間の言う通りにするのが正しい。
- 楽しみは、やるべきことを全て終えてからだ。
- 男だから/女だから、こうあるべきだ。
- 自分の人生の目的が見つからないと、意味がない。
- 体の不調は、歳のせいだから仕方がない。
- 忙しいことは、充実している証拠だ。
- 感情的になるのは、未熟なことだ。
- 努力は必ず報われるべきだ。
- 自分の運命は、生まれた時から決まっている。
- 世界は危険で、恐ろしい場所だ。
- 政治や社会は変えられない。
- 過去の出来事は、未来を決定づける。
- 何かを得るためには、何かを犠牲にしなければならない。
- 世の中には、絶対的な「正解」がある。
- 怒りや悲しみ、不安に負けてはいけない。
- 物事は、白か黒かではっきりさせるべきだ。
- 休むことは、怠けていることと同じだ。
- 自分の悩みは、他の人の悩みに比べて些細なものだ。
- 人生は、常に上を目指し続けなければならない。
すべては幸せだと思い込みましょう。目の前に課題がある人は、成長へのチャンスタイム。何もないならこれからの展開を楽しみましょう。この瞬間瞬間、生きているだけで感謝です。がんになってから特にそう思います。
思い込みに気づいたら、どうする?
当てはまる項目はありましたか?
もしあったとしても、「こんな思い込みを持っている自分はダメだ」と責める必要は一切ありません。 大切なのは、ただ「ああ、私にはこんな考え方の癖があったんだな」と客観的に気づくことです。
気づくことこそ、変化の第一歩。
その上で、もしその思い込みを手放したいと感じたら、次のように自問してみてください。
- 「その考えは、100%絶対の事実だろうか?」
- 「その思い込みを持つことで、自分はどんなメリット・デメリットを得ているだろうか?」
- 「もしその思い込みがなかったら、自分はどんな行動をするだろうか?」
これらの問いは、凝り固まった思考をほぐすのに役立ちます。
「〜〜べきだ」という思い込みに気づいたら、「〜〜してもいい」という許可を自分に出してあげましょう。
「私には価値がない」という思い込みがあるなら、「私はありのままで価値がある」と、新しい言葉を自分にかけてあげましょう。
おわりに
エックハルト・トールの「今を生きる」を読んで、「今」を生きるためには頭の中の雑音(思い込み)を手放す大切さに気付きました。「ザワザワ」「ドキッ」としたものがあれば、それをそのまま感じて、それが思い込みであると考えを改めてみましょう。
もう過去の思い込みに縛られる必要はありません。
このチェックリストが、あなたが自分自身を深く理解し、より軽やかに、あなたらしく輝く人生を歩むためのきっかけとなることを、心から願っています。