抗がん剤の副作用、大変気になりますよね。「どんな副作用があるの?」「自分にも耐えられる?」と、大きな不安を感じている方もいらっしゃるかもしれません。
私自身もそうでした。
抗がん剤は、がん細胞を攻撃してくれる心強い味方ですが、同時に私たちの体の正常な細胞にも影響を与え、様々な副作用を引き起こすことがあります。
そこで、抗がん剤治療を受ける前に、適切な対処法(セルフケア)を知って準備しておくことが大事になります。症状を和らげ、治療を乗り越える力になるからです。
この記事では、私が大腸がんの治療で経験した主な副作用と、医師や看護師さんから教わった対処法についてまとめました。
これから治療を始める方、今まさに副作用と闘っている方にとって、少しでも参考になれば幸いです。
副作用の現れ方や程度には個人差があります。ここで紹介するのは一般的な情報です。実際にケアを行う際は、必ず担当の医師や看護師、薬剤師にご相談ください。
皮膚のトラブルについて
多くの抗がん剤で起こりやすい副作用の一つが皮膚のトラブルです。特に顔や胸、背中にニキビのような発疹が出たり、全身が乾燥してカサカサになったり、かゆみを伴うこともあります。
なぜ起こるの?
抗がん剤が、皮膚のうるおいを保ち、外部からの刺激を守るバリア機能を持つ細胞の新陳代謝に影響を与えるために起こります。
一般的な対処法とセルフケア
- 保湿が何よりも大切
- 治療開始前から、低刺激で保湿力の高いローションやクリームを全身に塗る習慣をつけましょう。特にお風呂上がりは、水分が蒸発しやすいため、体を拭いたらすぐに保湿するのが効果的です。
- 肌への刺激を避ける
- 衣類: 体を締め付けない、ゆったりとした綿素材の下着や服を選びましょう。
- 入浴: 熱いお湯は皮脂を奪い乾燥を悪化させます。ぬるめのお湯(38〜40℃)にし、石鹸はよく泡立てて手で優しく洗い、ゴシゴシこすらないようにしましょう。
- 紫外線対策: 日焼けは皮膚症状を悪化させる原因になります。日中は日焼け止めを塗り、帽子や日傘、長袖の服で肌を守りましょう。
- かゆみがある時:掻きむしると皮膚のバリア機能が壊れ、さらに悪化してしまいます。冷たいタオルや保冷剤を当てることで、かゆみが和らぐことがあります。かゆみが強い場合は、塗り薬が処方されるので、我慢せずに医師に相談しましょう。
私の対処法
保湿について
薬剤師さんに聞いたところでは、主に「分子標的薬」が皮膚に悪さをするようです。管理人はベクティビックスという分子標的薬を使っていますが、この薬の副作用について国立がん研究センターの著書には次のように書かれています。
ベクティビックスの副作用
「がん」はどうやって治すのか?(国立がん研究センター編)
- 皮膚障害
- 低マグネシウム血症
- 口内炎
実際に、湿疹やニキビのような症状が、顔、胸、背中、太ももにあります。徐々にひどくなってきたので、看護師さんに相談したら皮膚科の受診をおすすめされました。
皮膚科では保湿剤やステロイドを混ぜた塗り薬を処方してもらい、顔用、身体用、指先用、酷くなったところ用の4種類を毎日2回塗っています。この薬は伸びが良くないので塗りにくく、ちょっと面倒・・・。
次回皮膚科を受診したときに、塗りやすくしてもらおうと思っています。
その他には、市販の保湿クリーム「ニュートロジーナ」を随時塗っています。この保湿クリームは塗りやすいので、全身を塗るにはいい感じ。

やはりケアをすると肌の調子がいいので、欠かさずに保湿するようにしています。
紫外線対策について
これは日傘に頼っています。なるべく日本メーカーで軽量なもの、ということでモンベルの晴雨兼用のトラベルサンブロックアンブレラを愛用しています。

UVカット率99.7%で遮熱効果もある素材でコーティングされているので、抗がん剤治療をされている方はもちろん、どなたにもおすすめできる晴雨兼用の傘です。
159gとスマホより軽く(iPhone13で185g)、持ち歩きが楽です。
トラベルサンブロックアンブレラ
裏面に黒いコーティングを施すことで優れた遮熱効果を実現した晴雨兼用の軽量傘です。またコーティングが下からの照り返しを吸収し、まぶしさを軽減します。6本骨にすることで、軽量コンパクト性を実現。常時バッグに入れても気にならないサイズです。収納ケース付属。
モンベル公式サイトより
口内炎について
口の中の粘膜が荒れて、赤く腫れたり、口内炎ができたりします。食事や歯磨きの際に強い痛みを感じることがあり、会話がつらくなることもあります。
なぜ起こるの?
口の中の粘膜は、皮膚と同じように細胞の生まれ変わりが非常に早い場所です。抗がん剤がこの粘膜細胞の再生を妨げることで、炎症や潰瘍が起きやすくなります。
一般的な対処法とセルフケア
- 口の中を清潔に保つ
- 感染予防と症状悪化を防ぐための口腔ケアが大事です。皮膚の対処法と同様に、清潔にするのがとにかく大事だと教わりました。柔らかい歯ブラシで優しく歯を磨きましょう。歯磨きが痛む時は、ぬるま湯で洗い流すだけでも効果があります。
- うがいを習慣にする
- 刺激の少ないうがい薬(医師に相談)や、生理食塩水(水500mlに塩小さじ1杯弱を溶かしたもの)で、1日に何度もぶくぶくうがいをしましょう。口の中の乾燥を防ぎ、清潔に保ちます。
- 食事の工夫
- 避けるもの: 熱すぎるもの、香辛料の強いもの、酸っぱいもの(酢の物、柑橘類)、硬いもの(せんべいなど)は避けましょう。
- おすすめの食事: お粥やスープ、ゼリー、茶碗蒸しなど、喉ごしが良く、あまり噛まなくても食べられるものがおすすめです。
- 痛み止めを使う
- 痛みがひどくて食事がとれない場合は、粘膜に塗るタイプの麻酔薬や痛み止めの飲み薬があります。医療スタッフに相談しましょう。
私の対処法
私の場合は、口内炎が酷くて痛みがあり、舌も思うように動かなくて会話しにくいことも。冷たいものは痺れて食べられず、醬油や塩味の料理をたべると舌全体がしびれるような痛みがあります。
看護師さんに相談して、AZ含嗽用配合顆粒「ニプロ」といううがい薬を処方してもらいました。口腔内の粘膜を守ってくれる効用があり、うがいをすると口の中が楽になります。
指先の痺れについて
手足の指先が「ピリピリ」痺れたり、感覚が鈍くなったりします。ボタンがかけにくい、文字が書きにくい、小さな物をつかみにくい、といった日常生活への影響が出ることがあります。
なぜ起こるの?
抗がん剤が、手足の末端にある細い神経(末梢神経)にダメージを与えることで起こります。特に、温度を感じる神経が影響を受けやすく、冷たいものに触れると症状が強く出ることがあります。
一般的な対処法とセルフケア
- 冷たい刺激を避ける:症状の予防と悪化防止のために、体を冷やさないことが大切です。
- 冷たい飲み物や食べ物は避け、常温や温かいものを選びましょう。
- 冬場だけでなく、夏場でも冷房が効いた場所にいる時は、靴下や手袋、上着を利用しましょう。
- 洗い物をする際は、ゴム手袋を着用し、ぬるま湯を使いましょう。
- 怪我の予防:感覚が鈍くなっているため、気づかないうちに怪我をしやすくなります。履き慣れた靴を履く、足元の障害物を片付ける、熱いものに触れる際は注意するなど、日常生活での安全を心がけましょう。
- 血行を良くする:軽いマッサージや、手足を温める(お風呂など)、無理のない範囲での手足の指の運動(グーパー運動など)は、血行を促進し症状を和らげるのに役立つことがあります。
私の対処法
冷たいものを触ると指先がしびれます。卵を割る短い時間でも指先がジンジンとしびれるのです。肉や豆腐を切るときには左手がしびれます。ハンバーグもしびれがあるうちは作れません。
切ってある肉を使い、野菜類は買ってすぐに使い、米を研ぐときは指先の代わりにしゃもじなどを使って研ぎます。
しびれ防止の薬などは処方してもらえないので工夫しながら生活し、しびれが治まるのを待つしかありません。あまりにしびれがひどい場合には、しびれる副作用のある抗がん剤を減らすか、やめるかしかないそうです。
わたしの場合、いまのところ我慢できるというか、なんとか工夫して乗り切れています。
爪の変化について
爪が黒ずんだり、茶色っぽく変色したり、乾燥して割れやすくなったり、筋が入ったりします。爪の周りが炎症を起こして痛む(爪囲炎)こともあります。
なぜ起こるの?
爪を作る細胞(爪母細胞)に抗がん剤が影響を与えることで、正常な爪の成長が妨げられるために起こります。
一般的な対処法とセルフケア
- 保湿と保護:皮膚と同様に、爪とその周りも保湿が重要です。ネイルオイルやハンドクリームを爪の生え際にすり込むように塗りましょう。
- 爪への負担を減らす
- 爪切りは深爪を避け、まっすぐに切り、角はやすりで丸く整えましょう。
- 水仕事の際は、ゴム手袋を着用して爪を保護しましょう。
- マニキュアは爪の補強になりますが、除光液は爪を乾燥させるため、アセトンフリーのものを選びましょう。
- 爪囲炎のケア:爪の周りが赤く腫れて痛む場合は、細菌感染の可能性があります。清潔に保ち、悪化する前に医師や看護師に相談してください。
私の対処法
爪囲炎はいつの間にか腫れて、いつの間にか血が出て、地味に痛い、そんな炎症です。これが手足問わずに指先にできています。
あれ?なんか痛い、と思って指を見ると切れていたりします。しびれで感覚も鈍くなっているか、気を付けるのが難しい。
今も爪囲炎は治っていません。
看護師のアドバイスに従って、寝る前に皮膚科で処方してもらった薬を多めに塗り、100均の保湿手袋をして寝ています。多少良くなっているような感じがしますので、このまま治療を続けます。
昼間は血が出てもいいように絆創膏を貼っていますが、この絆創膏の貼り方も大事なようです。

爪から肉を引き離すように絆創膏を貼るように
と、看護師さんからアドバイスをいただいています。
絆創膏を貼る際には意識してみてください。
便秘について
抗がん剤の種類や、副作用止めとして使われる薬の影響で、腸の動きが悪くなり便秘になることがあります。
なぜ起こるの?
腸の蠕動(ぜんどう)運動をコントロールする自律神経に薬が作用したり、食事量の減少や水分の摂取不足が原因となったりします。
一般的な対処法とセルフケア
- 水分を十分に摂る:意識してこまめに水分補給をしましょう。1日1.5〜2リットルが目安です。
- 食事の工夫:食物繊維が豊富な野菜、果物、海藻、きのこ類などを積極的に食事に取り入れましょう。ヨーグルトなどの発酵食品も腸内環境を整えるのに役立ちます。
- 適度な運動:体調が良い時には、ウォーキングなどの軽い運動を取り入れましょう。腸の動きを活発にする助けになります。お腹を「の」の字にマッサージするのも良いでしょう。
- 薬の相談:セルフケアで改善しない場合は、我慢せずに下剤を処方してもらいましょう。自分に合った薬を医師と相談することが大切です。
私の対処法
これは皮膚の炎症と同じくらい辛い。私の場合は、もうお腹がパンパンになって息苦しくなるほどです。抗がん剤をやって3日くらいは一切出なくて辛い。
水も飲んで根菜類を多めに食べてもダメなので、下剤を倍量に増やしてもらいました。その後は割とスムーズに出るようになって、楽になりました。
もっと早めにお願いすればよかったと反省しています。
あとは、なるべく毎日出歩いてSNSにアップし、友達と励まし合うというのを日課にしています。モチベーションを維持するには、やっぱり仲間の存在が大きいです。
脱毛について
大腸がんの治療で使われる抗がん剤は、乳がんなどで使われる薬に比べて、完全な脱毛が起こることは少ないとされています。しかし、薬の種類によっては、髪が細くなったり、全体の量が減ったり(薄毛)、部分的に抜けたりすることがあります。
なぜ起こるの?
毛髪を作る毛母細胞は、がん細胞と同じように分裂が活発なため、抗がん剤の影響を受けやすいからです。
一般的な対処法とセルフケア
- 頭皮への刺激を避ける
- シャンプーは低刺激のものを選び、爪を立てずに指の腹で優しく洗いましょう。
- ドライヤーは低温で、頭皮から離して使いましょう。
- パーマやカラーリングは、治療中は避けるのが無難です。
- 見た目のケア:髪のボリュームが減って気になる場合は、帽子やスカーフ、ウィッグ(医療用)などを利用するのも一つの方法です。最近はおしゃれなデザインのものも多く、気分転換にもなります。
私の対処法
これはコントールできないようなので、ほぼ諦めていました。看護師さんに相談しても対処法はなさそうでした。坊主にするのがおすすめ、というのが唯一のアドバイスだったように思います。
なので6回目の抗がん剤の後に、自分でバリカンで坊主にしました。シャンプーやボディソープは無添加のものを使って刺激しないようには気を付けています。
9回目の抗がん剤の前に実家を訪ねた際、母に

毛が生えてきたわね!
と言われました。確かに抜け毛が減りました。
抗がん剤専門の資格を持つ看護師に話したところ、

脱毛が止まって毛が生えてきました!っていう方多いですよ。発毛のサイクルと抗がん剤のサイクルによって止まったりするみたい
と教えてもらいました。
まとめ
抗がん剤の副作用は、いくつかの症状が同時に出てくるので辛いです。心身ともに滅入ってしまうこともありますが、一つひとつの症状にきちんと向き合って適切に対処していくしかありません。
塗り薬に飲み薬、歯磨きにうがいと、気を付けることが多くて、正直、何回か薬を飲み忘れたりもしてます。飲み忘れてもあまり自分を責めないようにして、この長旅を続けていくつもりです。
一方で、

抗がん剤をやめたいな、、、
いや、続けるべきだ!
という葛藤に苦しむこともあります。
そういう時は、医師や看護師さんに正直に思いを伝えるようにしています。抗がん剤の効用を統計データで教えてもらってモチベーションを回復させたり、副作用への対処法を教えてもらったりして乗り越えています。
大切なのは、ひとりで我慢しないことだと思います。気になる症状があれば、どんな些細なことでも医師、看護師、薬剤師に伝えてください。経験豊富な人に相談して教えてもらうのが一番です。あなたに合った最善の方法を一緒に考えてくれます。
抗がん剤の副作用について、私なりの対処法をご紹介させていただきました。あなたにとって副作用が少しでも穏やかになるよう心から願っています。
この記事の著者である私は、医師や薬剤師などの医療資格を持つ専門家ではありません。
本記事の内容は、大腸がん闘病中の一人の人間として、
- がん薬物療法看護認定看護師や腫瘍内科の医師への質問を通じて得た知識、
- 国立がん研究センターに掲載されたがん情報
を個人的にまとめたものです。
つきましては、以下の点にご留意いただけますと幸いです。
- 本記事は、医学的な診断や治療のアドバイスを行うものではありません。
- 掲載情報については正確性を期しておりますが、その安全性を保証するものではありません。
- ご自身の治療については、必ず担当の医師や専門家に直接ご相談の上で、医師や専門家の指示に従ってください。
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